小さなライド、大きなシフト

「こんにちは、私の名前はステファノです。 「私の9キロのジャック・ラッセルを前進または後進させるためのアクセサリーがあるかどうか知りたいのです。

一見、実用的な質問だ。しかし、その質問の仕方に私は立ち止まった。穏やかな口調、率直さ。私は正直に答えた。「動物輸送用具は販売していません。私たちはノーと言うのが好きではないのです。

その数日後、ステファノは静かだが重要なことを付け加えた。彼は10分以上歩くのが困難になっていた。

そして、質問は変わった。それはもうバッグだけの問題ではなかった。自律についてだった。大切なリズムを生き続けること。犬の散歩ができるかどうか。

使えるかもしれないバッグがひとつあった。動物用に設計されたものではなかったが、頑丈で安定性があり、ブロンプトンのフロントブロックにしっかりと固定できるものだった。私はそれを送ることを申し出た。ただ試してみてください。サイズが合うかどうか。それで十分なこともある。

言っておくが、ステファノが連絡してきた当時、私たちはまだ犬や猫の輸送バッグを提供していなかった。それは後のことだ。彼の質問が、私たちをその方向へと導いてくれたのだ。

ステファノの愛犬スタークは完璧な副操縦士であることが判明した。落ち着きのあるジャック・ラッセルは、前カゴにきちんと座り、まるでずっとそうしてきたかのように周囲を見回していた。

最初の写真は彼のリビングルームから届いた。バッグの中で安定しているスタークは、好奇心旺盛だが、完全に安心している。数日後、今度は公園から。バスケットに入ったスタークはブロンプトンを広げ、ステファノのステッキはきちんと脇に添えられていた。その小さなディテールがすべてを物語っていた。

彼はケネディ病という珍しい神経筋疾患を持っている。筋肉が徐々に弱っていく。治療法はありません。ただ調整するのみ。彼は同情など求めていなかった。ただ公園に通い続ける方法を探していた。愛犬に外の空気を楽しませる。歩いていたのではどうにもならなかった一日の一部を維持するために。

「あなたのおかげで、失っていた自主性を少し取り戻すことができました」と彼は書いた。

それは私の心に残った。

結局、ステファノは友人から中古のCライン6段変速のブロンプトンを譲り受けた。ローマがローマ法王の葬儀やコンクラーベで混雑していたとき、彼は地元に留まった。家の近くの公園で。それはもう勝利だった。

彼が送ってきた写真は静かで生命力に溢れていた：バスケットの中のスターク、ペダルの上の鮮やかな靴、木漏れ日。一緒に公園を転がる短いビデオも送ってきた。劇的でもなく、速くもなく、ただリアルに。

私は当初、彼ではなく、バスケットに入った犬だけの写真を共有してもいいかどうか尋ねていた。しかし、ステファノはさらに踏み込んできた。同じような境遇にある人たちの助けになるかもしれない。

その後、彼はブロンプトンのディーラーを訪れた。家族のように歓迎された。コミュニティへの参加に誘われた。「ブロンプトンの世界は人生哲学だと本気で思い始めている」と彼は書いた。

このセリフは私の心にも残った。それは真実だからだ。人々がこの自転車に乗るのは、折りたたみ式だからというだけでなく、可能性を広げてくれるからだ。特に、体力に限りがあるとき、街のスピードが速すぎるとき、足がダメだと言っても犬がまだ外に出たがるとき。

私はステファノに話を聞かせてくれと頼んだわけではない。彼はこう言った。"好きなところで使ってくれ。もしかしたら誰かの役に立つかもしれない"。

だから、ここにある。男。犬。折りたたみ自転車。バッグ。

そして、私たちがここで本当に作っているのは、単なるアクセサリーではなく、アクセスなのだということを静かに思い出させてくれる。

ありがとう、ステファノ。

そしてありがとう、スターク-これまでで最も冷静で、最も信頼できる9キロのテスター。

JP（ブロンプトニック創設者・オーナー）